我慢なんてできない!

「ヨ、ヨヨヨースケぇ! たたたたいへんクマ! セ、センセイがあああ!」
 押しかけ初日早々にもうなにかやらかしたのか! と慌てて堂島さん宅にリターンしてみれば、こたつでぐったりと気を失っている相棒に、ハラハラする様子で身辺の世話をしているクマがいた。
 まさかコイツが風邪で倒れるなんて……と軽く驚いたが――朝一にやってきた里中と天城も同じ感想を言った――、なんだかんだで自分と同じ歳の男子なんだ、と妙に安心したのも事実だ。
 ――いや、そんなことはどうでもいい。
「お前、昨日から具合悪かったろ」
 一晩経って、相棒の意識が戻った。すかさずクマ達を買い物に出掛けさせて、簡単な聴取を行うことにする。
「え、あ、いや……」
 コイツはずいぶんわかりやすい性格になったと思う。自分と特別な関係になったことが関係していたりして?
「考えてみりゃ、ちょっと顔白かったもんな。寒い関係ない白さな」
 クマが「センセイとラブラブ初詣だー!」やら、テンションに任せてアホな言動を繰り返すたびに突っ込んでいたせいで気づくのがだいぶ遅れてしまった。ただでさえ、無駄に行動力がある男だというのに。
 ああもう、相棒失格だ。
「俺達に遠慮しないで寝てりゃよかったんだよ。頑張りすぎだろ」
「ち、違う。出掛けたかった。陽介達と初詣、どうしても行きたかったんだ」
 さらに瞳を潤ませて見つめてくるコイツの破壊力たるや……っとと、違う違う。頭をぽんぽんしてごまかしておく。
「ま、俺も今更だな。お前の性格把握してるつもりだったのにこのザマだし」
 相棒は緩く首を振る。
「というか……陽介、ここにいて大丈夫か? 風邪、うつるぞ」
 言葉とは裏腹に、声も表情も全く違う感情を伝えてくる。こんな時だからこそ、クマじゃなくて自分に甘えて頼って欲しいのだが、どうも鈍いようだ。
「……俺は、お払い箱?」
 直接言うのは悔しいから、わざと遠回りに告げてやる。
「俺、ダメ? 恋人なのに?」
 ぼん。
 文字にするならこんな感じだろうか。
 ああもう可愛い。あのクールビューティーからは想像のつかない動揺ぶりだ。今すぐ抱きしめたい。
「お前、かわいすぎ」
 弱々しい抵抗をしようとする両手はやんわりと封じて、キスをする。もちろんこれ以上の行動はなしだ。
 ……ちょっと理性が危ないけれど、これくらいどうってことはない。
「……それ、だけ?」
 な、に。
「もの、たりない。陽介」
 いやいや、熱でおかしくなってるせいだから、それ。クマ達だっていつ戻ってきてもおかしくないんだ。
「そばにいてくれるだけじゃ、いやだ。あんな、子供だましみたいなキスだけじゃ、もう、足りない」
 め、珍しく甘えて来てるからって流されたら、のちのちヤバくなるのはお互いなんだ。「熱出てる間よく覚えてないんだ」パターンだから!
 ……ああ、でも涙が出そうなくらいに潤んでる目が、普段のギャップと相まって大変な威力を叩き出している。
 だめだ、もう我慢できない――
 吸い込まれるように、半開きの赤い唇を塞ぐ。さすがに激しくはできないから頭を撫でるように緩く舌を絡めていく。
「……これ、だけ?」
 これで満足だろう。
 と思ったらこいつは、こいつは!
「いつもは、もっと激しくしてくれるだろ?」
 小首傾げるな掠れた声やめろ顔赤すぎんだよ!
 ここは何としても踏みとどまらないといけない。互いの、そう互いのためにだ。
「ほ、ほら。もうすぐクマ達帰ってくるし! ……お前が治ったら、ちゃんとお望み通りやってやるから」
 頬をひと撫でして、耳元に声を注ぎ込んでやる。たまにこいつがやってくるんだけど、とにかくものすごいから真似してみた。結構恥ずかしい。
「……っ!」
 こいつにも効果てきめんだったようだ。てきめんすぎたのかそっぽまで向かれてしまう。小さい子供みたいな行動は珍しい。可愛い。
「お、俺の真似なんかするな、ばか!」

 その言動で、必死こいて我慢していたアレコレが「ばちーん」と弾け飛んだのを、感じてしまった。

 お前が悪いんだからな!
 なんて、超お決まりの言い訳を心の中で叫んで、相棒の上に跨がる。俺の影に気づいたのか、ゆるりと顔をこちらに向けた瞬間に潤んだ瞳を見開いた。
「よ、陽介!?」
 今さら拒むなんて許さないぞ。さんざん人のこと煽ってやがったんだからな……!
 布団を捲って服の中に手を突っ込む。うわ、熱い。熱のせいかわかんないけど乳首も勃ってる。
「よう、すけ」
 さすがに驚きを隠せなかった。だって自分から腰上げて、「胸を触ってください」って強請ってるんだ。
 あの、相棒が。
 ダメだ。マジで興奮を抑えきれねえ。こんなにエロい相棒を前にして、我慢なんて無理だろ……!
 据え膳食わぬはなんとやら、って言うしな!
「っん、あ、ああ!」
「気持ちよさそうだな、相棒?」
「い、い……もっと、さわ」
 返答を全部待つ前に突起を摘み上げてやった。一際大きな声で喘ぐ相棒にハッとなって、慌てて唇を塞ぐ。万が一赤の他人に聞かれでもしたらやばい。特に相棒がやばい。それでも両手の動きは止められず、上半身をくねらせ、下半身を押し付けてくる積極的な恋人にますます煽られてしまう。
 正直理性なんか残るか! と本能はものすごく訴えてるけど、さすがにフルでやるつもりはない。冗談抜きで苦しそうだし、早く治って欲しいし。
 とはいっても、俺も今すぐ終わりとはとてもできない状態だ。そうなれば取れる方法はひとつ。
「な、相棒……コレ、さ。こうして……」
 すっかり元気になってしまった自分の分身と相棒のそれを取り出して、隣に寝転がりながらくっつける。あ、なんかこれだけでもうヤバイかも。
「ようすけ、これ……」
「本番はお前が元気になるまでお預け。ってかマジで心配だし、早く元気になって欲しいしさ」
 新学期になってもお前が休んでました、なんてオチは寂しすぎる。都会に帰るまでの間、少しでも多く一緒に過ごしたい。
 相棒はやっぱり不満そうだったけど、納得してくれたのか微笑を浮かべて手を添えてくれた。そうだな、ちっと恥ずかしいけど一緒がいいよな。
 恐る恐る、添えた手を上下に動かしてみた。
「は、っんん……!」
「や、べ……これ、たまんねー……っ」
 やるのは初めてだったんだけど、想像以上に気持ちいい。最中と同じくらい興奮する。腰も揺らしてみるともう、すぐにでも達してしまいそうになる。半ば意地で絶頂感を乗り越えまくっていたら、だんだん頭がぼんやりしてきた。気持ちよさに溺れて浮き上がれなくなりそう。
 相棒も同じみたいだ。くったりと頭を枕に預けて、半分虚ろな目で中心を擦っている。こんな顔も初めて見た。
「ん……む!?」
 でも、目を開けてるなら俺を見て欲しい。俺だけを、見てくれ。
 舌を奪い取るような勢いのキスを繰り返しながらうっすら両目を開けると、予想外に視線が合ってしまった。こっそり顔を盗み見ようと思ってたのに、びっくりして口を離しちまったよ。
「陽介、すっごいエロい顔してた。気持ちいい?」
 今までの仕返しとばかりに俺の唇を舐めて、色っぽく微笑む。
 だー! そういうことするとマジ本番行っちまうだろが! 俺がどんだけ苦労して堪えてると思ってんだっつの!
「全く~相棒は……本番は覚悟しとけよ」
 やっぱり全然怯えてない。望むところだとか言っちゃって、こういう無駄な男らしさは敵わねえなぁくっそ……。
「そんなお前にはおしおきじゃー!」
 片手を胸に伸ばして両方をいっぺんにいじり出すと、すぐに余裕が消えた。つっても俺もかなり切羽詰まってる状態だし、このままふたり同時に――

「ただいまーヨースケ、センセイ! って、あれ?」
「……アンタ、何そこで横になってんの」
「顔、赤いよ? もしかして、花村くんも風邪?」

 その後、どうしたかって?
 決まってるだろ、トイレ的なとこでこっそり処理しましたよええ!
 絶対絶対、本番は堪能しまくってやっからな!

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