影のもとへ伸ばす手 - 2/2

 目が覚めると、隣にいたはずの彼がいなかった。寝過ごしてしまったかと壁の時計を確認したが、六時を少し過ぎただけでいつもと変わらない時間だった。
「……ボウヤ」
 探し人はリビングのソファーに座っていた。
 嵐が去ったあとの海辺のように、穏やかな雰囲気を纏っている。
「おはよう」
「……ああ。おはよう」
 昨夜は幻だったのではないかとつい思ってしまう。どう行動するのが正しいのか迷っていると、目の前まで歩み寄ってきた彼がズボンの裾を握ってきた。
「昨日はありがとう。もう大丈夫だから」
 小さな声だったが、嘘ではないと信じられる強さを確かに感じた。
 頭を軽く撫でるだけに留める。言葉は敢えてかけないほうがいいと思った。彼ならきっと、きちんと受け止めるだろう。
「昴さん」
 コナンが、こちらを見上げてにっこりと笑う。
「朝ごはん、一緒に食べてもいい? そうしたら事務所に帰るよ」
 口元を緩めながら、変声機のスイッチを入れた。
「ええ。せっかくですから、腕によりをかけますよ。コナン君」


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