目が覚めると、隣にいたはずの彼がいなかった。寝過ごしてしまったかと壁の時計を確認したが、六時を少し過ぎただけでいつもと変わらない時間だった。
「……ボウヤ」
探し人はリビングのソファーに座っていた。
嵐が去ったあとの海辺のように、穏やかな雰囲気を纏っている。
「おはよう」
「……ああ。おはよう」
昨夜は幻だったのではないかとつい思ってしまう。どう行動するのが正しいのか迷っていると、目の前まで歩み寄ってきた彼がズボンの裾を握ってきた。
「昨日はありがとう。もう大丈夫だから」
小さな声だったが、嘘ではないと信じられる強さを確かに感じた。
頭を軽く撫でるだけに留める。言葉は敢えてかけないほうがいいと思った。彼ならきっと、きちんと受け止めるだろう。
「昴さん」
コナンが、こちらを見上げてにっこりと笑う。
「朝ごはん、一緒に食べてもいい? そうしたら事務所に帰るよ」
口元を緩めながら、変声機のスイッチを入れた。
「ええ。せっかくですから、腕によりをかけますよ。コナン君」
