それから、まるで我慢していた分をすべて消化するかのように身体を重ね続けて……気づけば鳥のさえずりが耳にたくさんお届けされていた。
「ほ、本当にすまん……!」
呂蒙はしきりに謝って、慣れない朝食作りまでしてくれた。だから気にしていないと宣言しているのに……。
いや。別件だがふたつあった。
「そういえば呂蒙殿。もしかして、私の両親がいないって知ってました?」
緑茶を傾けるカップの動きが不自然に止まった。
「あと、私が妙に忙しかったのってやっぱり呂蒙殿の差し金ですか?」
今度は盛大に咳き込んだ。
……何だか楽しくなってきた。
「いえ、別に責めるとか、そういうつもりではないんです。ただ真実が気になるだけですので」
我ながら嫌らしい訊き方だと思う。呂蒙は年上ではあるが、こうして弄りたくなってしまう時があるのだ。
「ま、まあ、やっぱりというか、気づいておったか……」
「一つ目は特に。だってそうでないと呂蒙殿が泊まるなんてありえないですもん」
呂蒙の頭上に「ですよねー」の文字が見える。珍しすぎる姿だからむしろ大歓迎だったりするのだが、彼としてはそれなりな打撃のようだ。
「……偶然、だったんだ。お前のご両親が旅行に行ったと、今日甘寧達に話していただろう?」
確かに朝、半分愚痴のノリで甘寧と凌統に話した。それを近くで聞いていたなんて、全く気づかなかった。
「でも、別にお前の家でなくてもよかったんだ。元々は、俺の家に呼ぶつもりでいたしな。だが、ほら。あのアパートは安いから……」
赤くなる呂蒙の言葉の続きを黙って受け取る。壁が薄いとか、まあそんなところだろう。
と、今度は目の前の表情に苦味が加わる。
「そんなわけで、今年はどうしても俺から悪戯を仕掛けて、成功させたかった。お前に一切の用意をさせたくなかった。だから……」
――改めて、ものすごく感動中だ。
呂蒙がこうして慣れない手回しをしてまで自分とああしたかったのだと考えただけで、力いっぱい抱きしめて離したくなくなる。
もし自分が大人だったら、間違いなくもう一度ベッドに向かっているだろう。
「……呂蒙殿も、私と似てきましたね」
「そ、そうか?」
「そうやって強引な手を使うところ、私にそっくりですよ?」
ああ、早く大人になりたい。
そう願いながら、面白いくらいに固まってしまった愛しい恋人を見つめた。
