それから先は、あまり覚えていない。
気づいたら悠の腕枕で寝ていた。
ひたすら深く深く貫かれて、喘がされて、何度も最奥に欲を与えられた。
「身体、大丈夫か? 本当に余裕なくて、ごめん」
悠はひどく申し訳なさそうに自分を見つめていた。謝る必要なんてないのにと、苦笑を零す。
「だから、謝るなって。大体これくらい、どうってことないよ。お前に喜んでもらえてよかったしな」
ふとした拍子に最中のことを思い出したら、断片的な記憶とは言え布団にくるまったままでいたくなるかも知れない。気になることがあるとすればそれくらいだ。
「それならいいけど……」
どことなく納得いかない様子だ。……仕方ないな。
「あ。でも一個だけお前に言わせてくれ」
「は、はい」
とてつもないことを言われると思っているのか、悠の顔に緊張が走る。
「……おまえ、どうしてこんなに、慣れてんだよ」
それは初めての時から気になっていたことだった。
「え?」
明らかな瞬きを繰り返す悠。なかなか面白い。
「俺、こういうのお前がはじめてなんだぜ。だけど、お前は」
「俺もはじめてだよ」
絶対嘘だ。いや、それもそれで微妙だが、とにかく信じられない。
「う、嘘つけ。にしちゃ手慣れすぎだろ」
「だって、陽介が大好きだから」
真顔一色だ。必死さも何もない。
「は、あ?」
「陽介が大好きだから、だから気持ちよくなって欲しくて頑張ってるだけだよ」
「ゆ、悠……」
こういう時に恥ずかしがるわけでもなく、ただストレートに想いを告げる悠は本当に格好よく見える。
何だか、最後の最後で自分もチョコレートをもらったような気分だ。
最後の最後でいいところを持って行かれたような気もするがまあ仕方ない……
「だから、ホワイトデーも期待しててくれよ?」
「は?」
「俺、今日の陽介に負けないくらい頑張るから」
「いや、ま、待て待て悠」
「だから一ヶ月後……な?」
笑顔がものすごく黒く見えるのは気のせいですか……。
一ヶ月後の今日に早くも恐怖を感じ、ぶるりと身を震わせた。
